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工場とプラモデルの 既成概念を壊したい。 BHC PDII MUSEUMが仕掛ける、 未来への種まき
2025年9月2日
静岡県にあるプラモデル生産工場 バンダイホビーセンター(以下、BHC)の新工場『BANDAI HOBBY CENTER PLAMO DESIGN INDUSTRIAL INSTITUTE(以下、BHC PDII(バンダイホビーセンター ピーディーツー))』が2025年7月24日に稼働開始しました。
新工場のコンセプトは、「魅せる工場」。プラモデルの生産工程を見学できるミュージアムも併設し、静岡から世界へ、モノづくりの魅力を発信する拠点となります。
今回は、前後編で『BHC PDII』の誕生への想いをお伝えします(前編はこちら)。後編は「工場とプラモデルのイメージを一変させるミュージアム」について。工場にミュージアムを併設した理由とは?プロジェクトメンバーの想いをつづります。
ホビーディビジョン ホビーマーケティング部 田口 博丈 (左)/
ホビーディビジョン ホビーマーケティング部 兼 ホビークリエイション部 松橋 幸男 (右)
モノづくりへのこだわりや、プラモデルの進化を体感
BHC PDII MUSEUMのコンセプトは「工場とプラモデルのイメージを変える」。一昔前のイメージが付きまとい、工場の従業員は人気の職業とは言い切れません。またプラモデルにも拡大するユーザー数に対して「ニッチな趣味」というイメージが依然としてあるのではないでしょうか。
そんな工場・プラモデルのイメージを変えることを目指すのがBHC PDII MUSEUMです。BANDAI SPIRITSが追求するモノづくりへのこだわりや、プラモデルの進化と挑戦の過程を体感できる施設です。

プラモデルへの解像度を上げる場を作りたかった
工場の様子を見てもらうだけならば、工場見学ができれば良いのかもしれません。しかしそれでは、工場・プラモデルの見方が変わりません。
例えば、ある種の完成形のように見えるガンプラにおいても、今もなお、並々ならぬ情熱を注いで“究極のガンプラ”の更新に挑み続けています。芸術品ではないマスプロダクトとしての誇りや想い、BHCの匠の技術と志が詰まっており、それを少しでも理解いただくことで、私たちが作るプラモデルの本質的な魅力がさらに伝わると思うのです。
そのためBHC PDII MUSEUMは、能動的な体験による深い学びや発見を通して、プラモデルへの解像度を高める設計となっています。

「プラモデザイナー」を目指す、独自の体験プログラム
目的を持つことで体験の質を高めたいと思い、「プラモデザイナー(工場で働く従業員)」を目指すというストーリー仕立てにしました。この設定が、前編にもあった工場で働く人を憧れの職業にするという我々の願いにもリンクします。プラモデルの価値を作る人を「プラモデザイナー」と名付けることで、ここで働くことと体験がつながります。また、名前を付けることで職業としてブランディングできるようになります。もちろん、誰も聞いたことのない職業を広めていくのは大変ですが、少なからずこのミュージアムに来た人には我々の想いが伝わると思っています。
プラモデルへの解像度を高める工夫として、施設内は「スタディエリア」と「ラボラトリーエリア」の2つに分けました。まずはスタディエリアにて、プラモデルの製造工程やBHCのモノづくりに対するこだわりを学んでいただきます。その後はラボラトリーエリアに移動し、プラモデザイナーとして設計、配色、金型設計、成形、パッケージデザインなど一連の工程を体験します。各体験の合間では実際に稼働中の工場も見学でき、プラモデル製造への理解がさらに深まる仕組みです。一連のプログラムを通じて、プラモデザイナーのかっこよさやプラモデル製造の奥深さを感じてもらえたら嬉しいです。

製造のリアルを感じる、一筋縄ではいかないゲーム
プラモデザイナーの体験プログラムは、「好きなように作って終わり」ではないのがおもしろいところ。BHCで働く従業員と同じように「実現したいこと」と「生産性」を両立する、目的をもったモノづくりを体験できます。
私たちが手がけるプラモデルは芸術品ではなく、世界中のお客さまに届けるマスプロダクトです。そのため製造においては「採算が取れる商品かどうか」を考えなければなりません。またプラモデル製造は、企画や設計などさまざまな従業員が役割分担をしながら完成を目指します。各自が意見を持ちながらも、お互いに調整しあってベストを尽くします。このような製造現場のリアルや各職種のやりがいまで体感できるように設計し、高得点を目指すゲーム形式を採用しました。
訪れた子どもたちに「将来はここで働きたい」と思ってもらいたい。モノづくりの本当の楽しさを知ってもらうために、このような本格的な職業体験の場を作りました。

子どもから大人まで、全世代に楽しんでもらいたい
「BHCが子どもたちにとって憧れの職場になること」を目指す一方で、BHC PDII MUSEUMは全世代の方々を対象としている施設。子どもから大人まで、すべての方に楽しんでいただけるコンテンツを目指しました。あえて、少し理解が難しい用語をそのまま使用している部分もあります。
全世代を対象にする理由は、「工場とプラモデルのイメージを変える」というコンセプトの実現には、子どもだけでなく親世代へのアプローチも不可欠だと考えたからです。もし今、子どもから「工場に就職したい」と言われたとき、保護者の方にも背中を押してもらいたい。そのためにも、幅広い世代の方々にご来場いただきたいと考えています。

日本のモノづくりは、まだまだ捨てたもんじゃない
BANDAI SPIRITSがプロダクトだけでなく、工場やミュージアムにもこだわる理由は、日本の“モノづくりの力”をもっと活性化させたいからです。モノづくりの新しい伝え方や進化のベクトルを見出せれば、国内の製造業をより活気づけられると信じています。その成功事例を、私たちから作っていきたいのです。
だからこそ、「工場とプラモデルのイメージを変える」のコンセプトを何よりも大切にしています。抽象的なテーマである分、実現には長い年月がかかるでしょう。それでも挑戦すべき理由がこのコンセプトに詰まっていると考えています。
もし10数年後、「BHC PDIIでの体験がきっかけでモノづくりに目覚めた」なんて方が世紀の発明をする未来が来たら、これ以上の幸せはありません。

WHAT'S YOUR “SPIRITS” 仕事における「魂」

「種を植えること」です。「工場とプラモデルのイメージを変える」ことは、来場者数などの数値では測れず、すぐに成果が出るわけでもありません。それでも10年後、20年後に大きな花が咲き実になることを願って、どう種を植えるかにこだわり、ミュージアムにひたむきに向き合っています。
ホビーディビジョン ホビーマーケティング部 田口 博丈

「いかに本質を掴むか」です。多様化が進む現代においては、物事が成立している本質を考え抜いて、戦略を実行することが大事だと考えています。最初に本質が掴めていればブレ幅は少ないので、できるだけ早く大きな1歩を踏み出すようにしています。
ホビーディビジョン ホビーマーケティング部 兼 ホビークリエイション部 松橋 幸男
所属部署・内容は取材当時(2025年6月)のものです。
©創通・サンライズ ©BANDAI SPIRITS
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