フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk

フィギュア原型師×フィギュア開発担当者

期待を超える創造に挑む。
そのためには、情熱を持ってチャレンジし続けることはもちろん、異分野から学ぶ姿勢も欠かせません。
「匠×TAKUMI Cross Talk」は、異なる業界や部門、職種で活躍する「匠」の両者が語り合うことで新たな発見や発想、気づきを得る企画です。

漫画やアニメ、ゲームのキャラクターをかたどったフィギュアが世界的に人気を呼んでいます。このフィギュアの原型を製作するプロフェッショナルこそ「フィギュア原型師」です。
平面の漫画やアニメのキャラクターを、立体のフィギュアにする過程ではどのようなアプローチが必要なのか。
また、世の中にない新たなフィギュアを生み出すための工夫とはー。

今回は漫画やアニメ、ゲームが世界的に人気の『ドラゴンボール』にスポットを当て、多くの『ドラゴンボール』フィギュアを手掛ける原型師VAROQさんと、アミューズメント施設向け景品の開発担当である株式会社BANDAI SPIRITS プライズ事業部 大山 和也が、フィギュアへの想いを語り合いました。

Profile

VAROQ

VAROQ (バロック)

フィギュア原型師

これまでに多数の『ドラゴンボール』関連フィギュアを手掛けてきたフィギュア原型師。
2017年に開催した第1回「ドラゴンボールZ BANPRESTO WORLD FIGURE COLOSSEUM 造形天下一武道会(※)」優勝など多くのフィギュア大会で入賞の実績を持つ。 
直近では、「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!! 親子かめはめ波 孫悟空/バーダック」や、プライズフィギュア「MATCH MAKERS」シリーズなどを担当。
「G×materia」シリーズでは全ての原型製作を担当している。

  • ※ バンプレスト主催の、原型師によるフィギュアバトルの祭典

大山 和也

大山 和也 Kazuya Oyama

株式会社BANDAI SPIRITS
プライズ事業部

2011年株式会社バンプレスト入社。プライズ(アミューズメント施設向け景品)の企画開発チームで、「週刊少年ジャンプ」関連の商品を担当。2021年4月より、新しいチームに所属。
『ドラゴンボール』は全42巻を何回も読み返し、内容をほぼ暗記しているほどの大ファン。

台詞や場面を暗記するほど
『ドラゴンボール』にのめり込んだ幼少期

VAROQ
小さい頃から絵を描いたり、粘土でものを作ったりすることが好きでした。美術系の勉強をしている時に原型師という仕事があることを知って興味を持ち、専門の制作会社に勤務した後、独立してフリーランスの原型師になりました。
大山
旧バンプレスト(※)とBANDAI SPIRITSではプライズ事業部に所属し、最初の5年はプロモーション担当としてイベントや販促物を担当していました。
そこからフィギュアを作るチームに異動して開発を担当し、この春からは別IPに関わるチームで、新しい挑戦をしています。
僕は「週刊少年ジャンプ」の漫画がすごく好きで、特に『ドラゴンボール』は何度も読んで暗記しているほどのファンなので、仕事で関わることができるのは本当に幸運だと思います。
  • ※ 2019年にBANDAI SPIRITSと経営統合
フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk
フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk
VAROQ
私も同じで、マンガでもアニメでもこれまでに一番見ている作品はなんだと聞かれたら『ドラゴンボール』だと言えますね。大山さんと一緒で、幾度も幾度も見ているので、目にも心にも染みついているほどです。
大山
VAROQさんとはもう5年ほどお仕事をご一緒させていただいているのですが、お互い「ドラゴンボール好き」という共通点があるから話が早くて、「あのシーンのあのポーズが…」と言うだけで理解して下さるのがありがたいですね。

「ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)」彩色前の原型(一部)

「ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)」完成後の商品

VAROQさんが原型製作を手掛けている「G×materia」シリーズ「ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)」より、彩色前の原型(一部)と、完成後の商品。

二人の圧倒的な熱量が可能にした
悟空とバーダックの“親子かめはめ波”フィギュア

大山
ドラゴンボール オフィシャルサイト内に、Vジャンプで『ドラゴンボール超』を連載しているとよたろう先生が様々なキャラクターを描く「とよたろうが描いてみた!」という人気コーナーがあります。ここに掲載されていた、悟空の父であるバーダックのイラストを拝見し、「これは絶対にフィギュア化したい!」と思いました。そこで、このイラストを商品化させてもらえないか版権元様に相談したところ、とよたろう先生に新たにオリジナルのイラストを描き起こしていただけることになったんです。それが、悟空とバーダックが“親子かめはめ波”をしているイラストです。
これがとにかくカッコよくて、フィギュア化の際には全力を注ぎたいと思いました。そこで「ドラゴンボールフィギュアならVAROQさんだ!」と依頼をさせていただきました。
VAROQ
大山さんのオファーを受けて、強烈に「やりたい」と感じました。とよたろう先生がイラストの描き起こしから手掛けてくださるという、これまでにないような企画だったのでもちろんプレッシャーもありましたが、ワクワク感も大きかったです。
フィギュアの元となった、とよたろう先生描き起こしのイラスト。
フィギュアの元となった、とよたろう先生描き起こしのイラスト。
大山
悟空とバーダックは会ったことがなく、二人が同時にかめはめ波をするなんて絶対にありえないんです。だから本当に貴重な構図ですよね。一つの台座に2体飾ることができるのですが、あまり一般的ではない仕様なので、かなり難しさもあったのではないかと思います。
フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk
フィギュアの元となった、とよたろう先生描き起こしのイラスト。
フィギュアの元となった、とよたろう先生描き起こしのイラスト。
フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk
VAROQ
そうですね、組み合わせるときにどうしてもぶつかってしまう部分が出てしまうのでそこを工夫したり、単体でもカッコよく見えるようにしたりと、見ごたえのあるフィギュアにしたいという思いで取り組みました。
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-」_04
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-」_03
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-」_05
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-孫悟空」
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-バーダック」
大山
イラストもカッコいいし、VAROQさんが原型を担当して下さるので、間違いなく良いものができる。それをユーザーにどう伝えるかが僕の使命です。
版権元様にも協力してもらって漫画の帯にフィギュアの告知を入れさせてもらったり、ドラゴンボール オフィシャルサイトで数か月にわたり紹介してもらったりと、いろいろな媒体に訴求していきました。登場後にSNSで写真コンテストを行ったりもしましたね。
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-」の造形は、今後のドラゴンボールフィギュアのお手本になるような秀逸なものに仕上がったと思います。
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-」_01
「ドラゴンボール超 とよたろうが描いてみた!!-親子かめはめ波-」_02

企画力と高い技術力で これまでにないフィギュアに挑戦

大山
 『ドラゴンボール』のように長期間展開している作品からは、これまでに数多くのフィギュアが生み出されています。その中で、これまでに出ているフィギュアと差別化するためにキャラクターの再現の仕方や仕様面において、常に試行錯誤しています。
エフェクトフィギュアシリーズである「G×materia」シリーズは、VAROQさんとキャラクターのラインナップや構図も含めて相談しながら、かなりこだわって作ることができたなと感じています。
VAROQ
「G×materia」シリーズでは、これまでやってきていないような必殺技のエフェクトをクリアパーツとラメを使って再現していますが、エフェクトのついている『ドラゴンボール』フィギュアは多くないので、ユーザーにも新鮮に捉えてもらっていると感じています。
キャラクターに関しては、「ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOKOU(孫悟空)」、「ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)」、「ドラゴンボールZ G×materia THE GOTENKS(ゴテンクス)」、「ドラゴンボールZ G×materia THE FRIEZA」、「ドラゴンボールZ G×materia THE GOKU BLACK」が発売され、9月には「ドラゴンボールZ G×materia THE YAMCHA(ヤムチャ)」が出ます。ヤムチャはフィギュア化されることが多くないので、やはり嬉しかったですね。
大山
「G×materia」シリーズは、自分たちなりのこだわりを強く入れた商品です。
例えば、悟空や悟飯においては、指と指の間から出るエフェクトの角度や長さ、さらに顔との距離を意識しつつ、かめはめ波らしさを追求しています。

また、フリーザについては、どうしてもデスボールを浮かせたく、腕とデスボールをエフェクトでつなげて浮かせるように固定し、名シーンを忠実に再現しました。
これもVAROQさんのアイデアで、とても迫力のあるフリーザに仕上がりました。

サイズ感に関しては18㎝ほどと、コレクションしやすい大きさにおさめました。このサイズなら、一般のコレクターの方でも部屋に並べておけますし、揃えたくなると感じています。ユーザーの反響でも「原作のキャラクターデザインを丁寧に捉えていて、躍動感がある」「ポージングもいい」などの声を目にし、嬉しかったです。
フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk
フィギュア原型師×フィギュア開発担当者 | 匠×TAKUMI Cross Talk
サイズ感に関しては18㎝ほどと、コレクションしやすい大きさにおさめました。このサイズなら、一般のコレクターの方でも部屋に並べておけますし、揃えたくなると感じています。ユーザーの反響でも「原作のキャラクターデザインを丁寧に捉えていて、躍動感がある」「ポージングもいい」などの声を目にし、嬉しかったです。

「G×materia」シリーズ
必殺技のエフェクトを、クリアパーツやラメ素材で再現した、「G×materia」シリーズ。

ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOKOU(孫悟空)_01

ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOKOU(孫悟空)_02

ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOKOU(孫悟空)

ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)_01

ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)_02

ドラゴンボールZ G×materia THE SON GOHAN(スーパーサイヤ人2孫悟飯:少年)

ドラゴンボールZ G×materia THE FRIEZA_01

ドラゴンボールZ G×materia THE FRIEZA_02

ドラゴンボールZ G×materia THE FRIEZA

ドラゴンボールZ G×materia THE YAMCHA(ヤムチャ)_01

ドラゴンボールZ G×materia THE YAMCHA(ヤムチャ)_02

ドラゴンボールZ G×materia THE YAMCHA(ヤムチャ)

作品へのリスペクトと手作業へのこだわり

大山
VAROQさんが原型を作る上で心がけていることを改めて伺わせてください。
VAROQ
もちろん元となる場面やイラストを再現することが大前提ですが、フィギュアは立体なので、側面や背中側など平面上では描かれていない部分があります。
どの角度から見ても『ドラゴンボール』の世界観がしっかりと伝わるよう、顔や筋肉、服の皺まで丁寧に調整しています。

あと、少しずつイラストに近づけていく過程では、“平均値”を出すようにしています。漫画であれアニメであれ、コマや場面、角度によって、キャラクターの顔や全身のバランスは変わってきます。
そのため、一場面を切り取って再現するよりは、キャラクターごとに顔や全身のバランスを捉えて、いろいろな場面を切り出して平均値を出し、そこを目指して作っていきます。
数値化してデータを出す原型師もいるかもしれませんが、私の場合は自分の感覚も大切にしながらやっています。これまで繰り返し漫画を見てきたという経験みたいなところもあるのかもしれません。

MATCH MAKERSシリーズ
バンプレストフィギュアコロシアム(造形王頂上決戦)に出場した原型師による「対決」のシーンを再現したシリーズ。

ドラゴンボールZ MATCH MAKERS-SUPER SAIYAN TRUNKS-_01

ドラゴンボールZ MATCH MAKERS-SUPER SAIYAN TRUNKS-_02

ドラゴンボールZ MATCH MAKERS-SUPER SAIYAN TRUNKS-

ドラゴンボールZ MATCH MAKERS-ANDROID 18-_01

ドラゴンボールZ MATCH MAKERS-ANDROID 18-_02

ドラゴンボールZ MATCH MAKERS-ANDROID 18-
大山
VAROQさんは手作業へのこだわりもすごいと思います。
VAROQ
原型師の中でもデジタルを活用している人は多いと思います。私自身も細かい部分だったり、明らかにデジタルで作ったほうがいいようなパーツだったりはデジタルで作ります。ただ、しっかりと作り込みたい部分や微調整しながらやりたい部分は手作業ですね。業界的に造形レベルが上がっていることを実感しているので、私自身もレベルアップしていかないといけないと気を引き締めています。
作業風景

フィギュアへの、飽くなき追求

大山
今は新しいチームでこれまで担当したことのないIPに関わっているため勉強の日々ですが、フィギュアに関わっているという根底は変わっていません。これまで培った経験や、作品作りにおけるこだわりをしっかりと活かしながら、さらに高めていきたいです。フィギュアの企画開発から登場までの大きな流れでは、「原型」「彩色」「パッケージや、HP・SNSによる見せ方」があり、その中の一部を自分流にアレンジすることで面白いことができるのではないかと考えています。
VAROQ
『ドラゴンボール』に関しては、まだまだ手掛けられていないキャラクターがたくさんいるので、そこをどんどんやっていきたい思いはあります。もちろんメインキャラクターでも、フィギュアになっていない名場面があるのでそこも機会があればぜひ挑戦してみたいですね。
原型は手と気力が衰えない限り、ずっと作り続けたいです。

※現在は店頭にない商品もございます。